2018年3月21日 JCDAスキルアップ研修 受講記録「CDAの活躍と成長2”モモから学んだあり方”」

キャリアカウンセラーとして所属している 日本キャリア開発協会主催の研修に参加してきました。講師は、有限会社ライフ・サポートチームの代表取締役社長 、JCDA認定スーパーバイザーの 黒木陽子 先生です。

黒木先生は、セミナーの冒頭に次のような言葉をかけてくださいました。

「こちらから見ていると、整然と並んでいて申し訳ない気がします。もっと自由に、椅子を離してお座りください。」

とても個人的な話ですが、当日、強風のため電車の遅延が発生し、数分遅れでの入室をしました。遅刻をしているという事実と、よく見られたいという想いが合間って、「キャリアカウンセラーの研修だから」「何十名の人が集まる勉強の場だから」と、かしこまり、自意識過剰な状態であることに気づかされました。その恥ずかしさと同時に、黒木先生の「ともに場を創る仲間への想い」のような空気に包まれた始まりでした。

今回の研修のねらいは

  1. 私たちの職業であるキャリアカウンセラーとしての自己概念を考えること
  2. 話を聴くという経験から映る自分自身を観て、自分の自己概念を捉えること
  3. 1と2を通して、自分自身の生き方で考えること

でした。ここでいう自己概念とは、「自分と自分を含む世界をどのように考えているか」「生きるエネルギー」のようなものです。ここ数年、「ありたい自分の姿」と、そのエネルギー(源泉)について考え続けている私にぴったりの内容でした。

プログラムは、黒木先生のキャリアストーリーをお聴きすることから始まります。そのお話から、気になったフレーズをもとに、グループワークにて自分の経験を語るという流れです。

黒木先生のキャリアストーリーを聴く機会を得ただけでもとても幸せな時間でしたが、それをもとに、自分の自己概念に迫る時間はさらに有意義な時間となりました。

グループワークで話した"経験"は、黒木先生が語られた「一人でもやれるかという姿勢を大切にしたい」というフレーズから思い浮かんだことでした。

私は、2016年から職業訓練の場でキャリアデザインの講師を担当しています。授業で使用するテキストの中には、さまざまなキャリア理論が散りばめられており、それを皆さまにお伝えする役目です。

テキストの、とあるページの片隅に「ハップンスタンス理論」にまつわる記述があります。他の理論に比べると、とても小さなサイズでかかれてあるため、触れずに終わることもありました。

勤め始めて一年が過ぎた頃、テキストだけに頼らずとも授業ができるようになり、集合研修の中でも対話ができるようになってきました。ある日、何気なく質問したことから受講生さんのお話(彼女のスキルにより偶然が幸運へと変化したストーリー)が語られ、ハップンスタンスセオリーに再びフォーカスが当たります。

男女はもちろん、20代から60代、経験もバラバラのみなさんと、一つのテーマに沿って考えるというキャリアデザインの時間が、講師として進行するにはとても難しい環境です。難しいが故でしょうか、自分の中でやりがいがどんどん強く感じられるようになり、一年半が過ぎた頃、カリキュラムの再編が行われることになりました。構成や進め方が大きく変化したのです。とくに、キャリアデザインの時間が短縮されることには、「大切な時間が削られた・・・」と、がっかり。

以前の私なら、へそを曲げていてもおかしくはなかったのですが、再就職に向けて懸命に活動しているみなさんに刺激を受けて、すぐに気を取り直しました。そこで、私も改めてハップンスタンス理論を体現しようと考えることにしたのです。すると、私にとって価値があると感じられることは、履歴書の書き方や面接の受け方などのテクニック的な要素より、カウンセリング理論やキャリア理論を通じて、自己理解を深めていく時間をみなさんと共有することなんだ、ということが分かりました。

一人一人がより豊かな人生を歩むため、自分自身にあるリソースに気づき、未来へのエネルギーを高め合えることに価値を感じているんだ。(だからこそ、職業訓練の講師という仕事を継続してきたんだ!)

そんな想いを叶える行動として、「偶然を幸運に変える力を育もう」というセミナーの自主開催に至ります。職業訓練の講師を続けながら、自分の価値観に沿った場を設けることにチャレンジ、です。

「私が開催しても誰も参加してくれるはずがない」「私には自主開催セミナーなどできるはずがない」「もっと勉強してからでいいのではないか?」「まだ子供が小さいんだから」と幾度もネガティブな感情が湧き起こりました。でも自分が欲しい未来を手に入れるには、行動するしかないな・・・

・・・というようなことを、グループになったお仲間の2人に聴いていただきました。

また、グループのお二人からも、黒木先生のキャリアストーリーから気になったフレーズをもとに、各々の経験をお聴きしました。同じストーリーを聴いているのに、自分に置き換えて語ることは三者三様。

黒木先生のキャリアストーリーを聴くという同じ体験をしながらも、受け取り方やその背景の違いに、それぞれの経験を強く感じました。

最後に、黒木先生が「ここで知り得た情報は外部に漏らしてはいけませんが、私が話したことならいくらでも漏らしてくださって構いません」とユーモアたっぷりでおっしゃったことも、印象深く残っています。

思い切って黒木先生との名刺交換の列に並び、ご挨拶をさせていただ際には、「とてもうなづいて聴いてくださっていましたね。」と言ってくださり、心踊りました。

黒木先生は顧問CDAという関わりで、組織のキャリアコンサルタントとして活動されていらっしゃるそうです。面談室での対話だけがキャリアカウンセリングではなく、廊下での立ち話でも私たちの力は発揮できることを教えてくださいました。そして、まさに私もおすそ分けいただいた気分で、黒木先生との会話の時間を次の方にバトンタッチいたしました。

黒木先生のキャリアストーリーを聞く体験や、お話しする機会を得ることができ、さらにキャリアカウンセラーとしての専門性を深めていく勇気が湧きました。

黒木先生、グループとして対話してくださったお二人、事務局のみなさまに心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

講座を受講後に購入した「モモ」ミヒャエルエンデ作
講座を受講後に購入した「モモ」ミヒャエルエンデ作