Planned Happenstance 〜プランドハップンスタンスで新たなキャリアストーリーを創造しよう〜

計画的偶発性理論の実践

クランボルツ博士のキャリア論

「偶然の出来事は人のキャリアに大きな影響を及ぼし、かつ望ましいものである」

キャリアカウンセラー養成講座テキスト3

この言葉は、日本マンパワーのキャリアカウンセラー養成講座で学んだキャリアカウンセリングの理論というテキストにある"プランド・ハプンスタンス・セオリーか"ら抜粋したものです。

このプランドハップンスタンスセオリーを提唱されたクルンボルツ博士は、スティーブ・ジョブズがスピーチをしたことで有名なスタンフォード大学の名誉教授でもあり、私が所属するJCDA(日本キャリア開発協会)の名誉会員でもあられます。

良いキャリアの機会を獲得するための5つのスキル

クルンボルツ博士は、人生で遭遇する偶然の出来事を良いキャリアの機会にするために、下記のスキルを発揮しようとおっしゃっています。

  1. 好奇心
  2. 持続性
  3. 柔軟性
  4. 楽観性
  5. 冒険心

この5つについての、私の経験をお話しさせてください。

1.好奇心(新しい機会を楽しもう)

「楽しみながら新しい機会を増やす」

同じ物や人に囲まれて暮らす生活は、安心感があります。過去を振り返れば、随分と長い間、嫌いなものや苦手なものは避けて暮らしてきました。

それでも人との出会いやご縁が好機となった場面が幾度かありました。キャリアカウンセラーになったのも、ある方との出会いがきっかけでした。

この理論に触れ、知れば知るほど「行動しないことは何も生み出さないことと同じ」ということが腑に落ちてきいきます。安定・安心ばかりを追い求めて、じっと良いことが起きるのを待っている「受け身」の状態では、より満足できる人生が望めないと感じるようになったのです。

  • 自分から新しい場に出向き、出会いを作ってみる
  • 他者から勧められたものを取り入れてみる
  • これまで対象外だったことにも興味・関心を向けてみる

上記のことを実践しはじめると、想像以上の素敵な出来事を引き寄せることができました。先日、お金をいただいてインタビューを受けるという初めての体験をさせていただいたのです。この経験は、これまで想像することもなかったできごとでした。

2.持続性(やりたいかやりたくないか)

「自分の本音を大切にしよう」

私は、失敗には決して屈しません!と言いたいところですが、しょっちゅう壁に頭をぶつけて悩んで足を止めてしまいます。

職業訓練でキャリアデザイン講師を始めたころは、出席率に何度も心が折れました。また、公共のカウンセリング業務では、相談を受け始めてから5分も経たないうちに離席されたことがありました。これは、本当に笑えませんでした。

そんな自分に相当へこみ、落ち込みました。そしてそのあと考えました。

「これから、どうするのか。」

たまに

「キャリアカウンセラーは私に向いていないんじゃないかと思うんです。」

という想いをお聴きすることがあります。私も失敗を繰り返すたび、この仕事は向いてないんじゃないかと悩みました。

でも、それは根拠のない不安でしかないと考えるようになりました。向いていると思えば向いているにふさわしい行動がうまれるし、向いていないと思えば向いていないにふさわしい行動がうまれる気がするのです。私は、自分がキャリアカウンセラーに向いているかどうかは、もう自分で判断しないことにしています。

それよりも、キャリアカウンセラーでありたいのか、そうでないのか。「やりたいのか?やりたくないのか?」どんなことも、まずはそのように自問自答しています。それは、やりたくないことをやって、これまで長続きしたことがないからです。

やりたい、だから少々失敗してもやり続ける。私の中で、力の限りを注ぎたい!という想いの矛先が、たまたまキャリアカウンセラーという仕事にたどり着いただけだ、と今は感じています。

3.柔軟性(思い込みに気づく)

「オープンマインドで」

以前、精神障がい者の就労支援に携わっていたことがあります。キャリアカウンセラーや産業カウンセラー仲間から、「どのような仕事?」と尋ねられることが何度もありました。その話の延長で、

「数年後には、精神障がい者の就労支援の仕事につきたいと思っています。そのために今の仕事に区切りをつけることができたら、大学に入学して精神保健福祉士の資格を取って、転職しようと計画しています。」と話してくださった若い方がありました。

とても素敵な計画です。精神障がい者の就労支援という職について、他者のお役に立ちたいという想いがひしひしと伝わってきました。

ただ、私は精神保健福祉士は取得していません。就労移行支援事業所(難病や障がいがある方々が就労を目指して訓練する事業所)で勤務したときも、障害者職業センターの職場復帰(リワーク)支援の仕事についたときも、キャリアカウンセラーの資格しか持っていませんでした。職場復帰(リワーク)支援の入職後に産業カウンセラーの資格を取得しましたが、職場で強要されたからではありませんでした。

大学に行くという目的が他にもある場合には別ですが、「精神保健福祉士を取得しなければ精神障がい者の就労支援に就くことができないから」と考えているならば、それは思い込みに過ぎません。

計画を立て、目標に向かって突き進んでいくことは素晴らしいことだと思います。私自身も、資格取得には何度もチャレンジしてきましたし、そのこと自体を否定しているわけではありません。資格取得の先にある、「目的」を強く意識しようとしているだけです。

もし、何らかの計画に固執して視野を狭めてしまうようなことがあったとしたら、計画以外の可能性や良い機会を逃してしまうことにもなりかねません。

「今の自分ではだめだ」「まずは資格を取得しなければならない」「自分の目的のために、会社に迷惑をかけてはいけない」という想いが、思い込みではないかどうか。思い込みから自分で自分を縛りつけている、行動を制限している、と気づくことができたら、チャンスをつかみやすくなるのではないかと考えます。

自分の考えや計画を持ちながらも、それに固執することなく、他者のアイディア、アドバイス、考えなどにも心を開く「オープンマインド」であること。それが自分の姿勢を柔軟に変化させることだという確信が生まれてきました。

4.楽観性(何とかななるさ)

「資格取得と自己効力」

20代のころ、情報処理の講師として「初級システムアドミニストレーター(現:ITパスポート)」という国家資格の取得を指導する授業を担当していました。その上位資格である「基本情報技術者」の試験対策もやってほしいという学校側の期待に応えるため、受験のための勉強を始めました。働きながら週末に学校に通い、それなりに努力をしていたのですが、1回目、不合格。2回目も、不合格。3回目にしてやっと手にした合格でした。

実はこのとき、8回目で基本情報技術者試験に合格したという先生が職場にいらっしゃったのです。私が合格できるまで努力を継続できたのは、「8回もあれば、なんとかなるさ」と楽観的に考えていた節がありました。

・・・と、とある経営者の方にお話したところ、「8回とか、3回とかは(程度が低すぎて)話しちゃいけない」と言われてしまいました。たしかに8回受けたら1回ぐらいは受かるだろうという当てもののような話と誤解されることがあるかもしれません。それに、試験を受けるなら1回でクリアしたいものです。指摘をされた私は大いに反省しました。

ただ、楽観性をはぐくむことが、生きる上でとても大切なことだと考えています。少々型破りでも、他者の見本にならなくても、世の中の常識にあてはまらなくても、「私にもできるかもしれない」という気持ちに刺激を受けたことを正直に話せた自分には、マルをつけてあげたい気持ちです。

◆◆◆

キャリアカウンセラーの資格に関しては「あなたのところにこれだけ皆が相談にくるのなら、本格的に勉強してみてはどう?」と勧めてくださった方がありました。もともとは情報処理の講師をしていたのですが、確かに就職や転職の相談が増えていた頃でした。その言葉に背中を押され、キャリアカウンセラーの養成講座に通うことになったのです。

プランドハップンスタンス理論を提唱されたクランボルツ博士は、社会的認知(学習)理論を基礎に展開されているため、自己効力理論を提唱されたアルバート・バンデューラ博士が引き合いに出されることがあります。

バンデューラ博士が説く自己効力(感)とは、「結果をうみだすために、適切な行動を遂行できるという確信の度合い」を意味しています。目標や課題に向かって、「自分は何とかやれる」「自分なら何とか努力できる」と、どの程度考えて準備できるかということです。

上記の私の例の場合、基本情報技術者という国家資格を3回受験し、やっと合格をつかむことができました。その背景には、8回目にして達成された他者の姿を観察していたことに影響を受けていると考えられます。また3回受験して合格を手にしたという自分自身の達成体験によって、強力な自己効力感がつくりだされたとすれば、キャリアカウンセラーの資格にチャレンジしてみては?という他者からの説得によって「自分にもできるかもしれない」という根拠のない自信が湧いてきたのではないか、と振り返ります。

自分のもつ力を信じることほど主要な力強いものはないと、著書(激動社会の中の自己効力:金子書房:アルバート・バンデューラ編)にも記されているとおり、考え方や感じ方、動機付け、行動に影響を与えるのが効力感です。

楽観性というスキルを発揮するための自己効力感。あなたはどのように感じられるでしょうか?

5.冒険心(やらないリスクを考えよう)

「小さなステップで」

やろう、やりたい!と思うけれど、できない・・・というときは、行動そのものを見直してみます。やろうと思っていることが大きすぎないか、もっと小さなステップにするにはどうすればよいか、といったアイディア出し(ブレーンストーミング)です。

チャンスをつかんでいる人や、成功をおさめている人は、必ず行動している人です。実践家の方々からも「小さな種を巻き続けることができるかどうかが大切」と教わりました。小さくてもアクションを起こし続けること、そこから学ぶことが大切なのです。どこに芽が出るかは分かりません。行動することを諦めてしまったら、ひとたび何も生まれなくなります。

これまで、行動したあとの最悪の結果ばかりを考えて、行動しないことでの最悪の結果をあまり考えてこなかった自分に気がついてからは、心の中で次のようなセルフトークをしています。

ひょっとしたら失敗を恐れて「何もしない」ということに、大きなリスクが隠されているかもしれない。

偶然を幸運に変える生き方

共にキャリアプランを立てたり、理想を描いたりすることは、キャリアカウンセラーとしての仕事です。私自身も「こうなりたい」「こうでありたい」という理想と現実とのギャップを受け止めながら、自分にとって必要な能力をどう培っていくのか?の試行錯誤を繰り返しています。

もともと計画力が低い私は、綿密なプランを立てることを苦手としてきました。特に会社員時代は、目立つ弱みだった気がします。ですが環境が変わってフリーランスである今は、目的のために手段をいつでも変化させられる、柔軟に行動できるという意味で、強みに感じる場面も出てきました。

今は先の見通しが立ちにくい変化が当たり前の時代。長期にわたる綿密な計画で、考えや行動を縛ってしまう生き方では、大切なことを見逃してしまうかもしれません。

私は働くという人生を選択しています。その自分の人生の満足度を高めるのは、「自分次第」と腹をくくりました。自分で考えて、決めて、行動する。行動することでより多くの偶然に遭遇する。その偶然をチャンスに変えられるよう、また知恵を絞ってやってみる。

一見、マイナスな出来事に遭遇しても、へこたれず、チャレンジし続けられる私である。

プランドハップンスタンス理論を初めて学んだときから8年、「知る」「やる」「できる」「やり続ける」ことに少しずつ近づいてきました。

正解を探す努力よりも、選択後の満足度を高める努力を

私には、より満足して、より豊かな人生を歩んでいきたいと願いがあります。

過去にとらわれることなく、新しい自分を発見できるような機会を自分の手で創る生き方に憧れます。女性としても、母としても妻としても、ユニークな私が役に立つよう、キャリアカウンセラーであることでさえも固執せず、いろいろなことにチャレンジし続けられる私を叶えてあげたいのです。

向こうからやってくる偶然と、こちらから計画的に創り出す偶然。どちらにせよ、より多くの必然に出会えますように。ひとまずやってみて、何が起きるか確かめてみませんか?

ここまで読んでいただきありがとうございました。何か感じられたことがあったら、ぜひメッセージを送ってください。お待ちしております!

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